スラム在住女性が案内してくれるBasecoスラムツアーに参加してきた@マニラ
バギオ留学を終えてマニラにいます。
気温が高い!!人の数も渋滞も桁違い!!!
そんなマニラで、ネットで見つけたスラムツアーに参加してきました。
何でスラムへ?
留学先だったバギオを離れ、少しの間マニラに滞在することにしましたが、観光地が少ない…!
有名なイントラムロスか、巨大モールで買い物を楽しむか現地人の活力を感じられるローカルマーケットに行くか...
しかし既に5ヶ月フィリピンに居る身としてはモールもマーケットも新鮮味に欠けます。
何しようかな...と探していた時に見つけたのがスラムツアーでした。
何でわざわざスラムに?と思うかも知れません。
せっかく海外を旅行するなら現地の人たちの生活が見たい。
留学中に出会うフィリピン人といえば先生たちですが、彼らは大学を出ている中流以上の人たちばかりです。
フィリピン人の多くを占めるのは貧困層で、その生活の実態を知りたいと思ったのがきっかけでした。
Trip Adviserで高評価のSmoky Tourに参加
私が利用したのはSmoky Tourという会社。
彼らのルールで写真撮影禁止だったので、写真はツアー会社のものです。
ツアーは毎日開催されていて、参加希望日の3日前までに予約が必要です。
料金の23ユーロはネットで支払いました。
朝9時に待ち合わせ場所のマクドナルドへ行きます。
イスラエル人兄弟の2人、日本人と香港人がいて、参加者は私含めて5人でした。
参加者はヨーロッパ人と日本人が多いそうです。
案内してくれるメラニィさんはスラム在住で3人の子供がいるフィリピン女性。
スラムで生まれたのではなく、両親に連れられて10人の兄弟達と共に移り住んだそうです。
綺麗な英語で説明してくれてとても分かりやすかったです。
ジプニーとトライシクルを乗り継いで着いたのはBasecoという海に面したスラム街。
60ヘクタールくらいの土地に7万人が住んでいるそう。
高級モールや観光地とも近い場所です。
土地は政府の所有で誰でも家を建てたり出来るけど、政府が立ち退け!と言ったら最後出て行くしかないといいます。
いざ、スラム街の中へ
スラムの中に入っていきます。
トタンや木の板、ボロ布等で作られた家が密集しています。
「朝はこんな感じで静かなの、子供達が学校に行ってるからね。夕方はすごく賑やかよ。」
とメラニィさん。
学校は高校まで無料で通えるけど、小学校卒業後は家の為に働く子が多いという。
狭い道を歩いていると両脇にある家から、ハロー!ハーイ!!と、
小さな子供達が手を振ってくれます。
まだ学校に行く前の4~5歳の子でしょうか。
屈託のない子供達の笑顔を見ていると自分がスラムにいることを忘れそうでした。
スラムの中には意外と色んな施設があります。
1曲5ペソで歌えるカラオケ
1ペソ入れたら使えるWi-Fiエリア
ゲーム好きな子供が集うネットカフェ
住民がお祈りするカトリックチャーチ
いたる所にあるサリサリストア(現地版のコンビニ)
一食50円くらいで食べられる食堂もたくさんありました。
火を起こすにも炭を買ったりなど手間とお金がかかるので、食堂で外食するのが普通だそうです。
残飯をリサイクルして食べる "パグパグ"
「このスラムではパグパグは売られてないのよ。」
食堂の説明の途中でメラニィさんが教えてくれた食べ物、パグパグ。
パグパグとは、ファーストフード店のゴミの中から食べ残しを集めて再調理した食べ物のこと。
マクドナルドやKFCなどのゴミを持ち帰って、食べられる部分を集めて再調理された物が売られているのです。
しかし暑くて何でも腐りやすそうなマニラで、食べ残しの肉は洗って火を通しただけで食べられるのか??
SmokyMountainというゴミ山で有名だったトンドというスラムでは、一般的にパグパグが食べられているそうです。
昔はこのSmokyTourもトンドで開催されてたようですが、昔に比べて治安が悪くなったため場所を変えたと聞きました。
「ファーストフード店で食べ残しそうになったら、持って帰らずに捨てていってあげてね~」
と冗談ぽく笑うメラニィさん。
私は笑って良いのか分からず変な顔をしていた気がします...
スラムで私が感じたこと
スラムと聞くと何かヤバそうな響きを感じますが、そこには外の世界と何ら変わらない生活がありました。
みんな毎日働き、勉強もして、私たちと同じように生きています。
でも、なんといってもやはり貧しい。
ニンニクの皮剥きの仕事をしている人と話しました。
15キロのニンニクを剥いて70ペソ(150円)の収入だそうです。
足元を見られているとしか思えません。
ハローワッツユアネーム!?!?
と笑顔で気さくに声をかけてくれる子供も、Tシャツ一枚でサンダルも履いていません。
地面は所々ぬかるんでいてゴミだらけなのに、ケガしないのか心配になりました。
電気は家庭用コードのようなもので供給されていて、所々カバーが擦りきれ金属線が剥き出しになっています。
この電気設備が原因となって数年に一度は大火災が起きるそうです。
また台風が来る度に沢山の人が家を失うと聞きました。
それでも住人達は明るく生きていて、目が合えば微笑んで挨拶してくれます。
子供たちは嬉しそうに近寄ってきて手を繋いできたりハイタッチを求めてきます。
日本でこんな光景があるでしょうか。
金持ちと幸福はイコールではない、貧しくても幸せな人は沢山いるというのはよく聞きますが、それをリアルに感じました。
何が彼らの心をこんなに豊かそうにしているのか。
彼らの笑顔は発展した日本の都会でストレスに晒されて生きている人達より幸せそうに見えました。
また、ファーストフードのごみの中の食べ残しを食べている人がいると聞いて、留学先の学校で毎日ごみ箱に捨てられていた食べ残しの山をふと思い出しました。
普段私達がどれほど色んな物を無駄にしているかを思い知らされた気がします。
お金があるから無駄にしていいわけではありません。
当たり前のことですが、このツアーに参加して改めてそう感じました。
フィリピンでは未だこのようなスラムで暮らす人が山ほどいると聞きますが、この先経済発展とともに彼らの生活が良くなっていくことを願います。